なぜ出題ミスは起こったか(ITパスポート試験 問12) [情報処理技術者試験]
10月18日の文書に続いて、10月22日には情報処理技術者試験センターが次の文書を公表しました。
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平成21年度秋期ITパスポート試験の正解の追加
及び基本情報技術者試験の表記誤り(誤植)に関する対応について
(1)
ITパスポート試験の問12に複数の正解があることが判明しました。
選択肢の「ア」を正解として公表しておりましたが、「ウ」も正解となり得るので、選択肢の「ア」と「ウ」のいずれも正解として取り扱うことといたします。
(以下、略)
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またも正解の追加なのですが、では問12とはどのような問題なのでしょうか。
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問12
A社では企業理念に基づいてビジネス戦略を策定し実行するための手順を考えた。重要成功要因の抽出、ビジネス環境の分析、ビジネス戦略の立案、ビジョンの設定を図のように順序付けて行うとき、図の(4)で行うものはどれか。
(1)→(2)→(3)→(4)→(実行計画策定)
ア 重要成功要因の抽出
イ ビジネス環境の分析
ウ ビジネス戦略の立案
エ ビジョンの設定
(丸数字は、括弧書きに置き換えました。)
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私が考えるアクティビティの順番は次のとおりです。
ビジョンの設定 → ビジネス環境の分析 → 重要成功要因の抽出 → ビジネス戦略の立案 → 実行計画策定
すなわち、4番目に来るのは「ウ ビジネス戦略の立案」です。
しかし情報処理技術者試験センターは当初「ア 重要成功要因の抽出」を正解として公表していたので、次のように考えていたことになります。
ビジョンの設定 → ビジネス環境の分析 → ビジネス戦略の立案 → 重要成功要因の抽出 → 実行計画策定
いずれが正しいのでしょうか?
出題者が問題を作成するに当たって依拠したものが判らないので、経済産業省つながりということでITコーディネータの「プロセスガイドライン Ver.1.1」を見てみましょう。
「プロセスガイドライン Ver.1.1」で説明している経営戦略フェーズのプロセスチャートを、簡略化した上で問12の言葉づかいに近いものに置き換えると、次のようになります。
ビジョンの設定 → ビジネス環境の分析 → 重要成功要因(案)の導出 → リスク評価 → ビジネス戦略の立案と重要成功要因の策定 → 実行計画策定
ご覧のように、重要成功要因に係るアクティビティは、3番目と5番目にあります。
2箇所に登場するので、問12の正解が「ア」と「ウ」の両方になるのも当然です。
厳密には選択肢「ア」の「重要成功要因の抽出」という言葉を考える必要があります。
プロセスチャートでは、環境分析の結果として幾つかの重要成功要因の候補が得られるとしています。
その後ビジネス戦略を立案する中で、重要成功要因を絞り込み、確定させます。
選択肢「ア」が、重要成功要因の「策定」とか「確定」といった表現であれば、図の(4)の位置になるでしょう。
しかし、使われているのは「抽出」という言葉なので、 プロセスチャートの「重要成功要因(案)の導出」に当たると考えられます。
となると、問12の正解は「ウ」になってしまいます。
出題者が「ア」を正解としたのは根拠があってのことでしょうが、少なくとも出題者はITコーディネータではないのでしょう。
IT系資格ブログ
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平成21年度秋期ITパスポート試験の正解の追加
及び基本情報技術者試験の表記誤り(誤植)に関する対応について
(1)
ITパスポート試験の問12に複数の正解があることが判明しました。
選択肢の「ア」を正解として公表しておりましたが、「ウ」も正解となり得るので、選択肢の「ア」と「ウ」のいずれも正解として取り扱うことといたします。
(以下、略)
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またも正解の追加なのですが、では問12とはどのような問題なのでしょうか。
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問12
A社では企業理念に基づいてビジネス戦略を策定し実行するための手順を考えた。重要成功要因の抽出、ビジネス環境の分析、ビジネス戦略の立案、ビジョンの設定を図のように順序付けて行うとき、図の(4)で行うものはどれか。
(1)→(2)→(3)→(4)→(実行計画策定)
ア 重要成功要因の抽出
イ ビジネス環境の分析
ウ ビジネス戦略の立案
エ ビジョンの設定
(丸数字は、括弧書きに置き換えました。)
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私が考えるアクティビティの順番は次のとおりです。
ビジョンの設定 → ビジネス環境の分析 → 重要成功要因の抽出 → ビジネス戦略の立案 → 実行計画策定
すなわち、4番目に来るのは「ウ ビジネス戦略の立案」です。
しかし情報処理技術者試験センターは当初「ア 重要成功要因の抽出」を正解として公表していたので、次のように考えていたことになります。
ビジョンの設定 → ビジネス環境の分析 → ビジネス戦略の立案 → 重要成功要因の抽出 → 実行計画策定
いずれが正しいのでしょうか?
出題者が問題を作成するに当たって依拠したものが判らないので、経済産業省つながりということでITコーディネータの「プロセスガイドライン Ver.1.1」を見てみましょう。
「プロセスガイドライン Ver.1.1」で説明している経営戦略フェーズのプロセスチャートを、簡略化した上で問12の言葉づかいに近いものに置き換えると、次のようになります。
ビジョンの設定 → ビジネス環境の分析 → 重要成功要因(案)の導出 → リスク評価 → ビジネス戦略の立案と重要成功要因の策定 → 実行計画策定
ご覧のように、重要成功要因に係るアクティビティは、3番目と5番目にあります。
2箇所に登場するので、問12の正解が「ア」と「ウ」の両方になるのも当然です。
厳密には選択肢「ア」の「重要成功要因の抽出」という言葉を考える必要があります。
プロセスチャートでは、環境分析の結果として幾つかの重要成功要因の候補が得られるとしています。
その後ビジネス戦略を立案する中で、重要成功要因を絞り込み、確定させます。
選択肢「ア」が、重要成功要因の「策定」とか「確定」といった表現であれば、図の(4)の位置になるでしょう。
しかし、使われているのは「抽出」という言葉なので、 プロセスチャートの「重要成功要因(案)の導出」に当たると考えられます。
となると、問12の正解は「ウ」になってしまいます。
出題者が「ア」を正解としたのは根拠があってのことでしょうが、少なくとも出題者はITコーディネータではないのでしょう。
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タグ:情報処理技術者試験
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